7月誕生石はルビー、9月誕生石といえばサファイアと言う風に、ダイヤモンドと同じく有名な二つの宝石。
どちらも知名度が高く、人気もあるストーンですよね。
実は、この2つの宝石、元々同じ鉱物なのはご存知でしょうか?
今回は、このルビーとサファイアの違い、どうしてできたのかも紹介します。
目次
ルビーとサファイアはコランダムからできた
ルビーとサファイア、違う宝石であるように見えて、実は同じ鉱石だという理由があります。
それはコランダムという鉱物に隠されています。
コランダムって鉱物の名前を聞くと、どこか鉱山から取り出すものかと思うかもしれません。
実は身近なところにも作られます、身近といっても工業関連ですが・・・。
工業用に作られたコランダムの結晶にCr3+やFe3+という結晶物イオンが組み込まれる事で色が付き、ルビーやサファイアとなります。
もちろん天然のコランダムからにも自然の作用が働き、ルビーやサファイアとなる事もありますよ。
コランダムとは、酸化アルミニウム (Al2O3) が結晶化してできた鉱物で、和名:鋼玉(こうぎょく)と呼ばれます。
石自体の形状は六角柱や六角板の形状になる事が多いです。
コランダムの結晶の色は、無色透明から黒褐色不透明まで色々。
モース硬度は9ですので、ルビー・サファイアも同じく9になります。
コランダムは人工的に作る事もでき、それらは主に工業用で使われます。
また、天然のコランダムの中でも、美しい物は宝飾品として扱われる事もありますね。
ルビーについて
まず、コランダムの中でも赤色の鉱物をルビーといいます。
ルビーの赤色は、コランダムに含まれるアルミニウムイオン(Al3+)の一部が、クロムイオン(Cr3+)に変わる事から発生します。
イオンの一部が置き換わり、そこで赤以外の光を吸収して、結果的に赤く見えるのですね。
クロムの含有量も1%程度だと、赤いルビーとなります。
また、0.1%になるとピンク色になり、柔らかくて知的な輝きを秘めるピンクサファイアと変化しますよ。
逆に5%以上もの含有量の多さとなると、灰色のエメリーと呼ばれる、工業用に使われる鉱物となってしまいます。
インド、ミャンマー、スリランカなど
サファイアについて
赤色のコランダムはルビーと呼ばれましたが、実は赤色以外のコランダムは全てサファイアと呼ばれます。
コランダムの結晶の中に、0.5~1%程度の鉄イオン(Fe2+)とチタンイオン(Ti4+)などが入って青色に変化。
青色が一般的なサファイアとされ、青色系統が良質と判断されます。
ルビーと同じように青色系統のコランダムも、青以外の光を吸収して、結果的に青く見えるのですね。
一般的に、単にサファイアと指すものは「ブルーサファイア」と呼ばれます。
そしてそのブルーサファイアの中でも、特に美しく、最高級な色がコーンフラワーブルーです。
コーンフラワーブルーのサファイアは目を惹くくらいの青色といわれています、見てみたいですね。
インド、ミャンマー、スリランカ、オーストラリアなど
ルビーの稀少さの秘密
同じ重量という条件下のルース(裸石)のみでルビーとサファイアを比べて、前者の方が後者より稀少で価格も高くなります。
この差は、両者の産出量の差から出てきます。
世界全体で見て、サファイアの産出量は約2000万カラットと比べ、ルビーは約50万カラット。
ちなみにダイヤモンドは約1500万カラットです。
これだけで見ても、ルビーの稀少価値が高いのは分かりますね。
そもそも、クロムがコランダムに混入すること自体が、通常ありません。
しかし、稀にクロムが含まれることがあるから、現実にルビーが存在しています。
これはコランダムにクロムが含まれると、結晶の成長が遮られて大きな結晶はできにくくなるはずだからです。
ルビーになるためのクロムの含有量も絶妙なため、ルビーの産出量は非常に少なく、稀少なジュエルとなるのですね。
また、サファイアも色合いの良い物は珍しくないとはいえません。
独特の色、宝石になる結晶の性質なども考慮されると、滅多に採掘されないので昔から稀少価値が高いとされてきました。
まとめ
ルビーとサファイア、どちらもコランダムという鉱物からできた宝石。
ただ、そのコランダムの結晶と交わるイオン分子が異なるだけ、と言う事を紹介しました。
ルビー:クロムイオン(Cr3+)の含有量が1%程度
サファイア:0.5~1%程度の鉄イオン(Fe2+)とチタンイオン(Ti4+)など
一般的に、赤色以外のコランダムは全てサファイアと呼ばれるのでしたね。
また、クロムの含有量が少ないとピンクサファイア、多いとエメリーという灰色の鉱物になります。
単にサファイアと呼ばれるものはブルーサファイアといい、その中でも最高級のものがコーンフラワーブルーのサファイアとされます。