安物の赤いプラスチックではなく、深く質感のある輝きから、「宝石の女王」とも名高いルビー。
最近でこそ合成ルビーという合成石もありますが、天然でも合成でもしっかり本物が欲しいですよね。
しかし、宝石というのは、輝きも色もよく似ている別の宝石が存在するもの。
そこで今回は、本物のルビーの見分け方、合成ルビーとの違い、よく似た石との違いを紹介します。
目次
天然?合成?その違いとは
ルビーが本物かどうかについては、天然石と合成石の違いから見ると、より理解が深まると思います。
まず、一般的に天然石とは「人工的な処理が施されていない石」とされます。
対して、合成石とは科学的に作られているので、もちろん人工的な処理が施されている石ですね。
ちなみに、人工的に作られた石には「模造石」「加工石」があり、合成石は「模造石」に当たります。
天然ルビーとは
ルビーはコランダムという鉱物からできます。
この鉱物に含まれる成分アルミニウムイオンの一部が、クロムイオンに置き換わる事で、赤く発光するルビーが作られます。
クロムイオンの割合は僅か1~2%ほどで、この割合から多すぎても少なすぎてもルビーにはなりません。
奇跡的な配合で生まれるので、それだけ稀少価値も高いと評価されたのでしょう。
自然に生まれるものが少ないからこそ、合成ルビーを作る技術が発達したのですね。
合成ルビーと特徴
次は合成ルビーについてですが、最大の特徴は「左右対称・内包物が全くない・すごく美しい」ですね。
天然ルビーでも内包物がなく、ほぼ左右対称にカットされた高級品もあります。
合成ルビーなら見かけ上、それに近いものを生み出せます。
ほとんどの天然ルビーは内包物が混じっており、左右も非対称なのが一般的。
ですから、あまりに左右対称で、輝きも完璧でしたら合成ルビーと疑う事ができますね。
ただ、天然のような、内包物を含んだ合成ルビーもあるので、その点にはご注意ください。
天然も左右対称に近づける事はできますが、なぜ非対称のものが多いのか、その理由は後で記載しています。
合成ルビージュエリーの価値は?
そんな合成ルビーですが、その価格は天然の1/1000と言われています。
安いほうの天然ルビーネックレスでも2万円はするのに合成ならさらに安くなりますね。
もちろん、昭和初期までは多く流通し、かなり人気もありました。
しかし、天然ルビーの価値が世間へ認められ、合成ルビーは次第に需要を縮小していきました。
ただ、現在でも人気のある合成石ですので、お手軽にルビージュエリーを楽しめるメリットがあります。
簡単!すぐにできる3つの見分け方
お見せで買ったものはいいけど、親御さん等からもらったもので、天然と合成かが知りたい人もいますよね。
そこで、見分けるための、簡単な見分け方を書いていきます。
- カットで見分ける
- 光の見え方で判断する
- 紫外線に当てて様子をみる
カットで見分ける
上の方に「天然も左右対称に近づける事はできますが、なぜ非対称のものが多いのか」と書きましたね。
その理由をお伝えします。
天然ルビーのカットは左右非対称が多いのですが、これはできるだけ天然の色の美しさ・大きさを引き出すためです。
もちろん形を整えるために小さくは出来ますが、すごく削ってしまうことになるので、大きく残らないのですね。
そのため、カットが左右対称にならない事が多く、初めて見る人は歪に見えるかもしれません。
一方、合成ルビーなら左右対称なので、そこから合成石かもしれないという見方ができます。
光の見え方で判断する
2つ目は、石を光にかざしてみる方法です。
石をかざすと、「光の帯が見えるか否か」で判断しましょう。
合成ルビーでは光の帯が見えない・見えても曲がって見えます。
もし天然ルビーであるなら、光の帯がまっすぐ60度の角度で見えます。
紫外線に当てて様子をみる
道具を使う必要がありますが、紫外線(ブラックライト)を当ててみる方法もあります。
天然ルビーであれば、淡い蛍光反応を示すのですが、合成ルビーは真っ赤に輝きます。
ただ、天然ルビーも最高品質だと真っ赤な蛍光反応を示したという事例もあるため、この方法では完全に判断しきれないでしょう。
ルビーと似た3つの類似石
ここまで天然ルビーと合成の違いおよび、見分け方をお伝えさせて頂きました。
最後に、よく似た赤色系統の宝石と、ルビーとの違いを紹介していきます。
- ガーネット
- スピネル
- ルベライト
ガーネット
赤色系統の中でも代表的な石で、赤色の他にも緑色・紫色があります。
赤色のガーネットを光に照らせば、明るい赤色に透けます。
ガーネットは面体を多くすれば、加工時に壊れる可能性があるため、面体が少ないものが多いですね。
そのため、角に丸みを帯びたものが多いのが特徴。
ルビーとガーネットの違い
ルビーはダイヤモンドの次に硬い鉱物なので、カットの面が鋭いのが最大の違いですね。
顕微鏡やルーペで見慣れている人なら簡単に分かりますが、初心者ですとなかなか分からないところ。
そのため、光に照らしてみて鈍く輝くのがルビー、明るく透けるのがガーネットと判断する方法もあります。
スピネル
別名:尖晶石(せんしょうせき)と言われるスピネルは、ルビーやサファイアとよく似た宝石です。
鉱床もルビーが採れる場所と近いところにあり、両者ともクロムという成分が影響する事から赤味を帯びます。
スピネルも色々なカラーがあり、中でもルビーとよく似ているのは、赤いレッドスピネル。
モース硬度は7.5~8で、ルビーのモース硬度9と近く、硬さもなかなかのものですね。
ルビーとスピネルの違い
正直、ガーネットよりもルビーに似ている宝石がこのスピネルです。
英国王室の王冠に付いた「黒太子のルビー」が、ルビーではなくスピネルだったという話は有名ですね。
レッドスピネルと天然ルビーの見分け方は、光にかざして見てみましょう。
ルビーなら角度を調整しながら光にかざして見ると、ピンク色とオレンジの二色が見えます。
一方、レッドスピネルならどの角度からも同じ色しか見えません。
これは、スピネルが等軸晶系の結晶で単屈折なので、どの角度から見ても一色しか見えないためです。
ルビーはコランダムからできるので、複屈折の性質を持ちます。
また、光を使わない状況での見分けは、鑑別道具を用いないと難しいでしょう。
どちらも原石状態であれば、結晶の形・見た目や触った感触で分かるとされます。
ルベライト
ルベライトはトルマリンの中でも特に赤い物を指します。
ということは、広義的な意味ではトルマリンと見ていいですね。
上質なルベライトはクランベリーのような色をしています。
モース硬度は7~7.5で比較的柔らかめ。
また、ピンクトルマリンはルベライトか?という疑問もあるかもしれません。
ルベライトとされるのは「赤い鉱石」を原則としているため、赤いピンク色のトルマリンでは当てはまりません。
濃いマゼンタ色ではルベライトとして紹介される事もありますよ。
ルビーとルベライトの違い
違いは屈折率にあるのですが、これは鑑別するための専用の機械がないと見た目では難しいですね。
ルベライトもピジョンブラッドカラーのようなものもありますので、見た目で完全に判断は難しいでしょう。
また、石を見慣れていないと難易度がかなり高いのですが、ルーペなど器具を使って見分ける方法もあります。
モース硬度は7~7.5ということから、カットの面が柔らかいとルベライトという見方もできます。
不安な場合は鑑別機関へ
今回は、天然ルビーと合成ルビーの見分け方・似た石とルビーとの違いを紹介しました。
宝石に関する知識は、実は奥深く多いのですね。
趣味レベルで色々な石を嗜んだ、かなり見慣れた人でないと、素人目ではなかなか見分けが難しいです。
エメラルドと翡翠が同じに見える・・・という風なこともあり得ます。
特にルビーとレッドスピネルの違いは、色々見慣れていても見分けが完全には厳しいかもしれません。
やっぱり、確実な方法は鑑別機関などプロの目で見てもらうのがベスト。
また、鑑定書というのがありますが、ダイヤモンドにのみ発行される書類ですので、注意してくださいね。