サファイアと聞けば青く深い色の石を思い浮かべる人は少なくないでしょう。
ルビーやエメラルド、ダイヤモンドといった四大宝石と並ぶジュエル。
そんなサファイアですが、産地によってはランク上のサファイアがあります。
それが「カシミールサファイア」と呼ばれる稀少な宝石です。
- カシミールサファイアとはどんな宝石?
- 通販で見かけたけど、どう稀少なの?
今回は、その宝石の特徴や、なぜ稀少かについてまとめてみました。
目次
カシミールサファイアとは
さっそく、カシミールサファイアとは何かということについて。
インド北部とパキスタン北東部の国境付近(ザンスカール山脈)にあるバッダール渓谷(カシミール地方)で採れたサファイアの事です。
1881年に山崩れで偶然人間が見つけた時が始まりとされます。
この鉱山に青い結晶が採れる事に目を付けたカシミールのマハラジャは、鉱山の所有権を主張し、村人を追い出してその鉱山の運営「Old Mine」を始めました。
そこから20カラットを越えるサファイアや数千トンにも及ぶ宝石の結晶を取り出しました。
1887年までに最上級な大型の結晶(宝石の原石)が取りつくされたと言われています。
しかし、短期間で資源が枯渇してしまいました。
その中でも最上質なサファイアの原石(およそ100㎏)からカットされて出来たのがカシミールサファイアと呼ばれます。
その時代に採り尽くされた最上級のサファイアこそが、カシミールサファイアと称され、数が少ないながらも現在市場を廻っています。
まさに「幻の宝石」ですね。
なぜ稀少な宝石なの?
とてもレアな宝石ですが、1951年以降、本格的にカシミールサファイアの採掘は行われていません。
ですから、世界中ではその宝石の市場価値は高く評価されています。
ということは、現在市場に回っているものは何?と疑問に思いますよね。
それには2パターンあります。
1つは、昔採掘されていた原石から研磨されたもの
2つ目は、過去のジュエリーから石のみを外した還流品
ちなみに、Old Mineが閉山した後、100メートルほど離れた鉱山でもサファイアは採掘されました。
が、どれも品質が高くなく、二度とカシミールサファイアのような最高品質の石は産出されていません。
ですから、カシミールサファイアは世界でも稀少な宝石といわれるわけですね。
ちなみに、高品質なサファイアはスリランカ・マダガスカルから採れますが、このカシミールのサファイアはさらに高価になります。
ルースだけでも300万円、ペンダントで200万円・・・ということも。
また、カシミールサファイアと通販で検索してみて「シンセティックサファイア」などといった表記を見かけられます。
この「シンセティック」とは「人工の」という意味なので、シンセティックサファイアは合成サファイアとなります。
価格はグンと安くなるので、カシミール産のような煌めきを楽しむ事ができます。
シンセティックサファイアのネックレスカシミールサファイアの特徴
稀少なカシミールサファイアですが、どんな特徴があるのでしょうか。
「コーンフラワーブルー」という、若干白みがかった美しさのあるブルーをしているのが最大の特徴です。
どの石もベルベットのような光沢と色合いを持っていて、他のサファイアにはない、カシミール産だけの特徴ですね。
このベルベットのような光沢感は、石の内部に微細な液体が粒で帯状の層をなしているからです。
その液体の層が光に反射してそう見えるのだと言われます。
特殊な構造を持った特別な宝石といえますし、通常の宝石では不透明度が高くなるのでこのような構造を持ちません。
まとめ
世界中の宝石の中でも、特に稀少な「カシミールサファイア」について紹介しました。
稀少な理由は市場に廻る量が限られているだけではありません。
宝石自体の高品質さと、その原石が当分本格的に採掘されないからという事でしたね。
もし、宝飾展などで実物を見た方が、その美しさは分かると思います。
過去のジュエリーから石だけを取り外したものが廻っているのも多いことから、数は限られます。
ということは、それだけ歴史のある宝石だという事実を感じる事ができるのはカシミールサファイアならではといったところでしょうか。